フラムfc対トッテナム試合経過

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GITLIN (Chairman, Gitlin and Company, LLC) 産業政策の4つの要素 各国政府が産業戦略(政策)を実施すべき理由は3つある。第1に生産能力が需要を上回っていること、第2に既存の産業を適切に評価し、将来性の高い産業を支援しない限り、不完全就業の問題を解決することができないこと、第3に他の国も同様の産業戦略を実施していることである。 産業戦略には、1)政策、2)決定、3)実施、4)投資の管理と引き上げ、の4つの要素がある。「政策」においては産業戦略がなぜ必要なのかを社会に対してわかりやすく説明する必要がある。政策が策定されたならば、適切な意志「決定」が下されなければならない。「実施」段階では、決定の実行方法が極めて重要となる。「投資の引き上げ」など、必要となる調整を検討するには、産業戦略を適切に「管理」する必要がある。本日は、現下の危機への米国政府の対応を、自動車産業とバッテリー産業に先の4要素をあてはめて考えてみたい。 米国の実例 --自動車産業とバッテリー産業 米国自動車産業政策は分かりにくい。政府は国内製造業を維持していくためには自動車産業が不可欠と判断し、クライスラーとGMへの公的資金注入を決定したのだと考えられる。しかし果たしてクライスラーは救済されるべきだったのか。クライスラーの破綻が結果的に自動車産業の強化につながることはなかったのか。政策の実施については、企業を効果的に再編し真の変革をもたらすことを目指す専門家の政府部内での活躍などもあり、順調に進められた。しかし、オバマ大統領直属の「自動車産業の再生を主導するタスクフォース」のリーダーを務めるRon Bloom氏は例外としても、多くの専門家が民間に戻ってしまったため、今後は投資をいかに引き上げるかが政府が直面する課題となる。 次にバッテリー産業について考えてみたい。バッテリーはハイブリッド車や電気自動車にとって不可欠な部品である。バッテリー市場は今後10年間で、現在の70億ドル規模から1700億ドル規模へ成長すると見込まれている。ハイテクバッテリーの研究開発・製造分野で、米国が今後世界のトップに立つ可能性はある。そうした可能性を現実のものとするには、政府が多くの資源を同産業に投入することが不可欠となる。 政府補助金を受けながらバッテリーを開発・製造する企業2社を紹介したい。A123 Systems社はマサチューセッツ工科大学の卒業生が起ち上げた企業で、優れた技術を有している。収益がほぼゼロに等しい同社が今後も開発・製造活動を継続できるよう、政府は同社に対し約5億ドルの補助金・貸付を供与する見込みである。次にEner1社は4年前まで8000万ドルの負債を抱えていたが、エンジェル投資家やベンチャーキャピタル、公的資本による支援を受け、経営を存続させている。赤字実績のある企業だが、優れた技術と将来展望が評価され、同社に対しては政府の景気刺激策の一環として1億ドル以上の補助金が供与された。これらの事例からは、投資に対する米国の取り組みの多くを理解することができる。すなわち、米国では資金に恵まれた企業や確固とした経営基盤を有する企業ではなく、優秀な人材を有する企業に資金が流れている。これは、社会の将来の成長に向けた投資と捉えることもできる。 最後に、産業戦略の実施を成功させる上で必要なポイントを列挙して締めくくりとしたい。第1に、産官学の協働が必要である。第2に、政治的に最も高いレベルでの支援についてのコミットメントが必要となる。第3に、失敗に終わった投資を政府が後追いしないようにするための監視機関が必要である。最後に、最も重要な点として、政府の介入は景気の下支えを目的とするものであり、競争原理を維持するためにも、経済が回復した時点で介入は停止させるべきである。 報告2 「産業界および企業に対する政府の支援――フランスの対応」 Jacques HENROT (Partner and Head of the Restructuring and Dispute Resolution teams, De Pardieu Brocas Maffei) 「政府の介入」が見直されるフランス フランス政府の過剰な経済介入は、しばしば非難の的となってきた。主要銀行や主要産業が部分的または全面的に政府の支配下にあったフランスは、大手自動車製造企業(ルノー)の完全国有化を戦後最も長く維持した国であり、フランスがそうした状況を脱したのはごく最近になってのことである。ルノー社員がストライキを起こせば政府に直接被害が及ぶため、同社員はストライキを起こすこともできず、当時の生産性の低迷を招いた。しかしながら、現下の危機にあっては、危機を乗り越える手段として従来型の支援・介入策への注目が再び高まりつつある。 本日はそうした支援・介入策として、1)欧州投資銀行(EIB)による投資拡大策、2)政府が2008年および2009年に取りまとめた景気刺激策、3)戦略投資ファンド(FSI)の3つに注目してみたい。 EIBは1958年に欧州での事業に資金拠出(長期貸付)することを主たる目的として設立された機関で、欧州連合(EU)加盟国が株主となっている。インフラ整備などの分野で活動する中小企業や研究開発型ベンチャー企業、グリーン産業などへのEIBの融資額は、危機発生以前の段階で年間約600億ユーロに上った。EIBは危機を受け、融資対象を拡大し、資金繰りに窮する企業に支援の手を差し伸べた。EIBはさらに2009~2010年で融資枠を30%(150億ユーロ)拡大する。追加的国際投資額は720億ユーロに上る見込みで、中小企業融資額は2008年から50%増となる予定である。 国内では2008年に265億ユーロ規模で対象を2年とする景気刺激策が発表され、うち75%の支出が2009年に行われた。導入された手法の1つに、暫定法人税とVAT控除の還付促進策がある。いわゆる「1000の新規事業プログラム」も始まった。これはニューディール的なプログラムで、政府は同プログラムを通じて1000の公共事業に資金を拠出した。より国民生活に身近な措置として、請求書の受領から請求金額の支払いまでの法定期限が90日から60日に短縮された。政府はさらに保険業者支援にも動き、中小企業に直接または保証を通じて融資を提供する国営機関であるOSEOに対する補助金を50億ユーロ増額した。 FSIは政府のエクイティ・ファンドツールとして2008年12月に設立した。FSIは完全国有機関ではあるが、フランス預金供託公庫(FSIと同様の任務を負う公的機関で旧政権も活用)を通じて法人化され、通常の商業会社として機能している。FSIは現在までのところ、戦略事業における少数株主出資という方針をコンスタントに守っている。予算は200億ユーロで、AccordやEuroTel Group、自動車部品製造企業をはじめ経営困難に直面する小企業など、多くの企業にFMEA(FSIの準ファンド)を通じて投資を行っている。 危機対策の効果と教訓 政策効果を判断するには時期尚早かもしれないが、欧州の中で信用格付けでAAAの評価を維持している国はフランスとドイツの2カ国のみで、零細規模の起業件数も増加していることが統計的に明らかになっているため、ある程度の政策効果を認めることができるだろう。 景気刺激策は透明かつ暫定的でなければならず、支出は査定可能なものでなければならないというのが危機対策から得られた大きな教訓の1つである。政策を支える納税者の理解を得るためにも政策評価は合理的範囲内で短期間のうちに終わらせなければならない。 報告3 「金融危機に対するドイツの対応――国内産業への政府支援」 Josef BROICH (Partner, Broich Bezzenberger) 危機対策とドイツの懸念 ドイツ国内での金融危機対策は、2007~2008年の間に比較的円滑に進められた。危機に対するドイツの対応はフランスや米国ほど積極的ではなく、むしろ消極的であった。ドイツ政府が株式投資に否定的になったのは、危機発生の数年前に国有企業の多くを民営化しており、政府による過剰統制の時代に逆戻りすることへの懸念が国民の間に存在したためである。 ドイツの対応は、1)金融セクターの債務超過を防止するための特別基金「金融市場安定化基金(SoFFin)」の設立、2)2つの景気対策の実施、が大きな特徴である。 景気対策はSoFFinとドイツ金融復興公庫(KfW)(銀行グループ)が主たる実施主体となり実施された。いずれの対策についても、産業力を維持し強化する必要があるとの確信に基づき実施されている。 景気対策の成果 --債務限度と雇用維持 第1次景気対策では、投資・調達の促進に向けた500億ユーロのほか、企業の資金調達・流動性確保のための追加支援として200億ユーロが投入された。 第2次景気対策では、インフラ整備および教育に140億ユーロが投じられたほか、融資プログラムに360億ユーロが割り当てられた。結果、債務限度と雇用効果という2つの重要な成果がもたらされた。 「債務限度」は政府の借入額に上限を設ける政策で、今後2年以内に成立する予定となっている。国民は政府が一定の役割を担うべきだと考えているが、一方で、政府がそうした役割を担うことで将来債務が増えるようなことがあってはならないというのも国民の声である。 第2次景気対策には失業者数の最小化という狙いもある。同対策では、短時間労働プログラム(週労働時間の短縮で解雇を回避するためのプログラム)の下で企業に対して経済支援が提供された。推計によると、同プログラムにより60万件の雇用が維持されている。ただし、長期的に持続可能なやり方で失業率上昇に歯止めをかけることができているのかどうかについては、現時点では明らかとなっていない。 ドイツが避けたい2つのシナリオ SoFFinとは金融セクターの安定化に向け、金融機関の支払い能力を確保し、貸し渋りを防止するために設立された特別基金である。同基金から約200億ユーロの支援を受けたCommerzbankなどが顕著な申請事例として挙げられる。 経済危機に対するドイツの対応を議論する上で、SoFFinは興味深い事例となっている。金融危機の原因は、歪んだ金融市場において過度の集中リスク、超過レバレッジ、リスク管理に関するあやふやな説が権力欲と金欲に結びついた結果、不良債権とバブルの時限爆弾が作り出された、というのがドイツにおける一般的な見解である。そのため、単にドイツ版ウォールストリートを支援するためのプログラムでは、国民の支持を取り付けることはできない。ドイツが回避すべきは、第1に、巨大国有企業の時代に逆戻りすること、第2に、「大きすぎて潰せない」規模にまで金融機関が肥大化し、SoFFinなどの機関による公的資金注入がそうした金融機関の存続に不可欠となるような状況に陥ること、の2つのシナリオである。これら2つのシナリオを避けるため、さらに2つの進展がみられている。 第1の進展として、「大きすぎて潰せない」規模にまで肥大化しているとみなされる銀行・企業の解体を規定する案が現在議論されている。 第2の進展として、産業政策の新ロードマップの策定作業が財相の下で進められている。同ロードマップは新技術、グリーン産業、国際投資の受け入れに積極的な産業に重点を置くものであるといわれている。 ドイツの政策の成否を判断することはまだできない。政策は実質的な問題解決につながったのか、あるいは机上の理論に終わったのか――結論は今後1年かけて導き出される。ただ、結論がどうであれ、政府は過剰介入の抑制と公的債務の削減という従来の原則は堅持するものと思われる。 各国の世界経済危機後の産業・企業支援策 政策 対策(例) 米国 米再生・再投資法による次世代電気自動車支援 リチウムイオン電池、ハイブリッド電気システム、電気モーター 新車への買い替え補助金 低燃費車 フランス 国家戦略投資基金(FSI)による出資 自動車部品、エネルギー、LED照明、医薬品 ドイツ ドイツ経済ファンドによる融資・信用保証 海運、自動車、電気機器 新車購入補助金 自動車 英国 戦略投資基金(SIF) 宇宙航空、洋上風力発電 英国イノベーション投資ファンド 生命科学、情報通信技術、低炭素製造部門 出所:経済産業研究所 質疑応答 Richard A. GITLIN氏への質問 バッテリー産業を支援することの根拠は? Gitlin氏:まず、どの産業に将来性があるのかを見定めなければならない。オバマ大統領は2015年までに電気自動車100万台の普及を目指す考えを明らかにしている。本日紹介した事例は、そうした目標を実現するための包括的プログラムの一環である。また、バッテリー産業への支援を特に強調したのは、支援企業が興味深い特徴を有しているからであり、実際は電気自動車を対象とした包括的プログラムも存在する。 Jacques HENROT氏への質問 どういった政策が適切かを考える上で得られた教訓は? それぞれの政策のメリット、デメリット、また政策間の連携についても伺いたい。 Henrot氏:景気刺激策のメリットは、その規模の大きさにある。大規模な景気刺激策であれば、適切な分野に資金が投入されるべきであると国民は認識するし、納税者の側にも刺激策の3分の1または4分の1のみを支持するといった考えは生まれなくなる。過去の取り組みでは、政策間の連携はまったく取られていなかったが、現在は優先課題が明らかとなっている。FSIは政府や企業に対し「第1にリストラクチャリングを実行し、銀行家の信頼を回復すること。そうすれば結果は明らかとなる」というメッセージを発している。 Josef BROICH氏への質問 ドイツはどういった資産戦略を展開しているのか。また、現下の危機に鑑み、一時的にでもマーストリヒト基準を採用する考えはないのか。 Broich氏:最初の質問に関しては、当面は大規模な成長イニシアティブが実行されることはないと見込んでいる。環境技術重視型の新景気対策がでてくる可能性はあるが、その際には新たな産業政策を実施することに対し、政府内から大きな反発の声があがることが予想される。ドイツでは商業銀行、とりわけ国有銀行による不良資産処理を可能とするバッド・バンク法が最近になって成立した。ドイツが2010年にマーストリヒト基準を達成する可能性は皆無に等しい。ではそれが同基準の破棄につながるのかといえば、おそらくそういうことはないだろう。「マーストリヒト基準を守ろう。最悪期を脱した時点で債務削減に再び取り組み、健全な金融情勢の原則に戻ろう」というのがドイツのアプローチだ。 第2部 パネルディスカッション「産業・企業支援政策の意義、問題点および今後について」 講演1 「成長なくして未来なし」 西口 尚宏 ((株)産業革新機構執行役員) 日本企業は素材や電子部品などの分野で高い世界シェアを維持している。個別の技術・部品は優れているが、これを組織の壁を超えて組み合わせて「製品・事業化」する面に課題がある。 産業革新機構は、国内に点在する個別の技術を集約・再編する革新的事業により、より高い生産性・成長性を達成することを目指している。すなわち、異業種を含めた技術・事業の新たな組み合わせ=産業革新(オープン・イノベーション)の推進である。同機構の役割は情報・産業資本・人材育成のハブとなることと、リスクマネーを提供することである。 人材育成との関連で、少子高齢化問題が頻繁に指摘されているが、人材力とは数と質のかけ算。人材の数が減るなら質を上げることで人材力を維持・向上すれば良い。一方、高齢化社会は成熟度が高い大人が社会に増えることを意味する。こうした人材は、本来はマネジメント力が強いはずだ。従って、少子高齢化の日本においては、マネジメント人材の質を向上させることが非常に重要であり、特にグローバル人材マネジメント力が、グローバル競争に勝っていく中で重要だ。 日本には人と技術しかないといわれるが、人と技術を結ぶ事業構想力、すなわちイノベーション発想力が非常に重要。イノベーションは暗黙知と形式知の組み合わせで起こる。暗黙知は人間同士のコミュニケーションがなければ伝達できない。従って、組織内外のコミュニケーションを阻害する縦割り構造はイノベーションの阻害要因となる。 優れた製品・開発があったとしても、クライアントに受け入れられ、売れなければイノベーションではない。顧客にとっての価値は何かという観点を発想の原点にする必要がある。日本人の視点だけで考える必要はない。むしろ世界を知ることで生まれるイノベーションこそが、今後の日本の成長を支えるものとなる。 要素技術で勝って全体の構想力で負ける旧来の構造から日本が脱却するには、事業構想力を磨き、全体のグランドデザインを描く部分で官民が一体となって取り組むことがポイントとなる。 講演2 「産業政策を考える際の視点」 柳川 範之 (東京大学大学院経済学研究科准教授) 産業政策を議論する際には政府関与の必要性が大きなポイントとなる。わが国では「市場に任せるべき」と「政府が積極的に関与すべき」の両極端の議論に走りがちだが、必要なのは「適切なレベル」での政府関与。政府が適切なレベルで関与するための判断基準が確立すれば、そこから新しい産業政策の視点が生まれる。 政府関与が必要となるのは「市場の失敗」が起きたとき。具体的には、1)参加者間の「協調の失敗」が起きた場合、2)市場が一時的に機能不全に陥った場合、3)景気対策が必要となった場合、4)対外戦略が必要となった場合である。 産業政策では民間のメカニズムはインフォーマルなものも含め最大限活用すべき。今後は民対民での協調の失敗を改善する政策が重要となる。対外戦略との関連では、標準形成・規格競争への後押しが重要な視点となる。省庁をまたがる協調の失敗の解消も産業政策の重要なポイント。 政府としては、重要なのは協調の失敗を防ぐ「知恵」を出すことであり、資金提供は副次的な側面に過ぎない。できるだけ民間資金を呼び込む工夫が必要。そのためには政府自らのポリティカルなリスクを減らさなければならない。 産業政策の課題は3つ。第1に、容易にお金を出さないこと。第2に、お金を出す場合、決定者は終身雇用の公務員ではなく、結果に責任を持たせることのできる有期雇用の人にすること。第3に、政府関与を心地よいと感じる(関与を受けると離れられない)国民性がある中で、どこまで関与すべきかを検討すること。 講演3 「リーマンショック後の世界」 滝田 洋一 (日本経済新聞社論説副委員長) 大きな金融危機を伴った経済の下ぶれは予想外に長期的な後遺症を残す。日本経済が長期的な停滞局面に入ったのは1997年の大規模な金融危機以降。リーマンショックの前後では、日本のGDPは520兆円から480兆円へと落ち込んでいる。 GDPが回復しない理由の1つに、小泉改革による経済回復の過程で日本経済が輸出志向を強めたことが挙げられる。結果、家電・自動車が日本の産業で占める割合が大きくなった。 今週はじめに発表された日銀短観では大企業製造業の業況判断は改善している。しかし設備投資金額は昨年から30%近く落ち込んでいる。中でも、電機・自動車での設備投資は前年比で40%以上のマイナスとなっている。 そうした中、今後の方向性をどこに求めるか。1つに、アジアの需要増に期待できる。IMFの世界経済見通しでは、BRICsの2011年GDPは10兆ドルとなっている。米国が15兆ドル、ユーロ圏で13兆ドルであることからも、世界経済のバランスが新興国に移りつつあることが理解できよう。 世界の風景がこのように変わる中で、企業の活動をどう後押しするかがポイントとなる。内需を刺激するためにも、現政権が打ち出す政策をどう具体化するかが重要。特に、環境、育児、介護といった分野に対して政府が具体的にどういった産業イメージを示すのかが課題となっている。 1400兆円あるといわれている日本の個人金融資産の多くは預貯金に集中している。これは日本の家計・個人投資家が日本の成長を信じていないためだ。これでは日本の成長率を高めることも、成長産業を創出することもできない。金融機能を新成長産業に結びつけるための戦略の重要性がかつてなく高まっている。 講演4 「金融危機と介入政策」 小林 慶一郎 (RIETI上席研究員/中央大学公共政策研究科客員教授) リーマンショック後に金融市場に起きている現象を「市場の失敗」の観点から捉えると、レモン市場の問題が大きな混乱を引き起こしていることが理解できる。レモン市場は経済の大きな構造変化が起きているときには金融市場に留まらず、いろいろな分野で起きると考えられる。 金融危機をきっかけに需要と供給のミスマッチがグローバルに起きている。その中で経済の構造変化が急速に進んでいるため、企業の将来性に関する情報の非対称性が生まれることが予想される。 そうなると、金融市場で起きたレモン市場が色々な産業で発生し、情報の非対称性による市場の崩壊や経済の停滞が起こるだろう。そこで、政府関与の必要性が生まれる。 将来性が不確かな企業を再編する作業には、情報の非対称性を解消する公共的意味合いがある。その意味でも、産業革新機構のような組織の活動には公共政策としての意義もある。そうした機構に対する政府資金の投入は、公共政策として経済学的に位置付けることができる。 環境に優しい産業といった新産業や、電気自動車のような新製品が発展するには、そのためのインフラが必要となる。ただ、外部性の問題や収穫逓増の構造があるため、通常の市場競争の下でそうしたインフラを整備することは難しい。従って、新産業・製品の発展段階ではインフラ整備面で政府が一定の役割を果たす必要があると考える。 パネルディスカッション 吉野氏:これまでの議論は、1)各国に公平な世界標準の構築、2)リタイアした人材の有効活用、3)供給サイドの発展、4)人材育成・教育、5)農業、サービス、金融等日本の弱いセクターの強化、6)為替政策の充実、7)政府関与のあり方、8)アジアの成長の取り込み、9)政府による環境技術支援、の9つのポイントに整理できる。 Gitlin氏:3点申し上げたい。第1に、新たに政権を獲得した与党は現在、変革の必要性を訴え、官僚機構との対決姿勢を明らかにしている。そうした姿勢は正しいものなのかもしれないが、政策の在り方を決める際に新政権と官僚機構が非協力的になるのはタイミングとしてはよくない。第2に、米国は回復する。というのも米国は起業家精神に富み、失敗を受け入れる国だからだ。現在のような移行期にあっては、国民がリスクをとれるよう支援する必要があり、その逆であってはならない。第3に、金融危機とは言い換えれば企業改革を実施するためのチャンスでもある。 滝田氏:政府による介入が必要な分野は存在する。政府・行政と企業はそれぞれが何を必要としているのかを互いに明らかにする必要がある。失敗した、または間違いを犯したアントレプレナーをどう前向きにフォローするのかも考えるべき。産業政策は、金融危機というピンチをチャンスに変える精神がベースにあってはじめて活かされるのではないか。 西口氏:事業構想力は起業家精神と表裏一体の関係にあるが、日本では事業構想力が社会全体として決定的に欠けている。出る杭を打つのではなく、育てるような社会風潮、構造、政策支援が必要。 柳川氏:産業政策では政府がより積極的にリーダーシップを発揮すべき。国全体としての方向性は政治・行政が示す必要がある。失業者、事業に失敗した人、転職希望者などが安心して再チャレンジできる仕組みも必要。今は国際的な標準獲得競争の時代。ポテンシャルマーケットであるアジアを巻き込んだ標準獲得競争に積極的に乗り出すのが日本の産業政策のポイント。 小林氏:各省の所管に縛られることなく、政府全体でより広く産業構造を考えると将来は明るいのではないか。日本の金融技術は世界から大きく遅れている。まだまだキャッチアップする余地はある。製造業と金融、理系と文系の間の壁が、高付加価値分野への優秀な人材の進出を阻害している。債務者にフレンドリーな倒産法を作る必要もある。事業に失敗した際のセーフティネットも充実すべき。 Gitlin氏:経営存続危機に陥る企業を直接的または間接的に政府支援で存続させることの結末は2つある。第1に、そうした支援を提供することで、もともと存続可能であった企業も存続のために価格を低下させなくてはいけなくなるため、存続可能企業は競争面でより大きな困難に直面することになる。第2に、そうした支援は十分な投資を行うことのできない企業を不良資産のまま延命し、いつか落とし穴のように破綻する。雇用維持を目的に資金を幅広く提供する産業政策は、不経済な状況を下支えするものである。政府はそれとは正反対の政策を展開し、経済的状況を回復させ、国民が将来に向け投資できる段階にまで状況を回復させるべきである。 Henrot氏:法が債務者の側に立ちすぎるのなら、フランスが直面したのと同じ問題を抱えることになるだろう。「銀行は返済を待つことができ、企業には公的資金を注入すべきだ」と考えることは長期的に望ましい選択肢ではない。そうした保護政策で救われた企業の多くはいずれまた問題を抱えるようになる。債務者支援はそれが一定範囲内に収められる場合には問題ないが、一定の範囲を超えるなら信用収縮が起きることになる。 Broich氏:今後数年については、日本やドイツといった国々は米国の「失敗を受け入れる文化」を学ぶべきである。一方米国は、政策立案者が企業や銀行と協議しながら、より協調的に経済回復に取り組むアプローチを学ぶ必要がある。 イベント シンポジウム ワークショップ BBLセミナー 終了したセミナーシリーズ 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